2009年4月9日木曜日

その、前日。

定時後、へいさんの家で印刷してもらったウェルカムボードを、アクロバティックにも彼のマンションの郵便受け越しに回収したあと、ふらふらしながら駅へと歩いた。

駅で切符を買うため、小銭を取りだそうとモタモタしていると

「兄ちゃん、これ使たらタダで乗れるで。使い。」

見ず知らずのおじさんが話しかけてきた。
と思うやいなや、おじさんはやや強引に一枚のカードを手渡した。

見ると、それは地下鉄の一日タダ乗り券だった。

おれがお礼を言う前に…というか状況を飲み込む前におじさんは通路の奥に消えていた。

カードを見たところ、アヤシイところはないみたいだ。
既に使いこまれてはいたが。

ここのところいろいろ大変だったからな。
なにかその労いみたいなものかもしれないぜ。
ここは有りがたく使わせてもらおう。

帰りの電車で平さんにお礼のメールを送ると、おれは一駅分のただ乗り区間を微睡みのなか満喫した。

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